医療保険に入っていない僕が、指の手術で1泊入院したら――請求は約4万円だった

節約・家計

去年、社会人サッカーの試合中に指を痛めました。診断は側副靱帯の断裂。放っておくと指が安定しないということで、側副靱帯再建術を受けることになりました。局所麻酔で、1泊2日の入院です。

多くの人が気にするのは、お金の話だと思います。「手術・入院」と聞くと十万円単位の出費を覚悟しますよね。しかも僕は、医療保険に入っていません

結論から言うと、最終的な自己負担は約4万円でした。明細をそのまま出します。

実際の明細(マイナポータルより)

項目 金額
医療費の総額(10割) 198,090円
窓口での自己負担(3割) 59,427円
入院中の食事代(3食) 1,530円
マイナポータルの医療費明細。医療費の総額198,090円、窓口負担59,427円
マイナポータルの医療費明細。総額198,090円が、窓口3割負担で59,427円になっている(病院名は伏せています)。

ここまでで約6万円。手術・入院でこの金額に収まるのは、公的医療保険の「3割負担」のおかげです。本来20万円かかる治療が、保険証1枚で6万円になっている。まずこれが大前提です。

差額ベッド代14,000円が、0円だったわけ

この入院、実は個室でした。普通なら差額ベッド代がかかります。僕の場合は1日14,000円。1泊でも結構な額です。

ただ、僕はこれが0円でした。理由は正直に書くと、入院した病院が自分の勤務先で、福利厚生で免除されたからです。これは特殊事情なので、誰にでも当てはまる話ではありません。

でも、ここで一つ、知っておいて損のない知識を共有させてください。差額ベッド代は、本来「払わなくていいケース」がはっきり決まっています。

  • 差額ベッド代がかかるのは、患者が同意書にサインして個室を希望した場合だけです。
  • 病院の都合(大部屋が満床で個室しか空いていない等)や、治療上の必要で個室に入れられた場合は、差額ベッド代を請求してはいけないことになっています(厚生労働省の通知)。

僕は病院で働いている立場ですが、うちの病院では個室を案内するとき、必ず料金を説明して患者さんの意思を確認します。「払うのが難しい」と言われれば大部屋にします。もし個室を勧められて、料金の説明も同意書もないまま入っていたら、それは確認していい話です。患者側が知らずに払ってしまいがちなので、あえて書いておきます。

さらに21,000円戻ってきて、最終4万円

加えて、後日21,000円が戻ってきました。これは僕が入っている企業の健康保険組合(組合健保)の「付加給付」という制度によるものです。組合健保には、自己負担が一定額を超えた分を後から払い戻してくれる仕組みがあるところがあります。

これで最終的な自己負担は、

窓口 59,427円 + 食事 1,530円 − 付加給付 21,000円 = 約40,000円

手術と入院をして、約4万円。これが「医療保険に入っていない僕」の現実の数字です。

なぜ僕は医療保険に入っていないのか

理由はシンプルで、高額療養費制度があるからです。

公的医療保険には、1か月の自己負担に上限を設ける仕組みがあります。所得にもよりますが、一般的な収入の人なら、どれだけ高額な治療をしても、自己負担は月およそ8〜9万円で頭打ちになります。誰でも持っているこの安全網が、僕が医療保険に入らない一番の理由です。(今回はそもそも窓口6万円なので、高額療養費の上限に届く前の話。21,000円の戻りは前述の付加給付によるものです。)

【参考】高額療養費の「自己負担の上限」(70歳未満)

ひと月(1日〜末日)の自己負担が上限を超えると、超えた分は後から戻ってきます。上限は収入で5段階に分かれています。

所得区分(年収の目安) ひと月の自己負担の上限
区分ア(標準報酬83万円〜/年収約1,160万円〜) 252,600円+(総医療費−842,000円)×1%
区分イ(標準報酬53〜79万円/約770〜1,160万円) 167,400円+(総医療費−558,000円)×1%
区分ウ(標準報酬28〜50万円/約370〜770万円) 80,100円+(総医療費−267,000円)×1%
区分エ(標準報酬26万円以下/〜約370万円) 57,600円
区分オ(住民税非課税) 35,400円

たとえば年収500万円(区分ウ)の人が、ひと月に総医療費100万円かかったとします。窓口では3割の30万円を払いますが、自己負担の上限は約8.7万円。差額の約21.3万円は後から戻ってきます。「手術・入院で100万円」でも、実際の負担は10万円弱で頭打ち——これが、僕が医療保険を不要と考える一番の根拠です。

※出典:全国健康保険協会(協会けんぽ)の高額療養費・自己負担限度額(平成27年1月診療分から/2026年時点で据え置き)。最新の区分・金額はご自身でご確認ください。

この高額療養費のしくみは、両学長(リベラルアーツ大学)の解説がとても分かりやすいです。僕がお金の勉強を始めた原点でもあります。

つまり、ほとんどの入院・手術は「貯金で払える範囲」に収まる。僕が保険を考えるときの原則はこれです。

起きたら経済的に再起不能になることだけに、保険をかける。
確率が高くても、貯金で払えることには、かけない。

上限まで行っても月8〜9万円。これは緊急資金(生活防衛資金)で普通に払える額です。だから僕は、毎月の医療保険料を払う代わりに、その分を投資に回しています。

家を買ったとき、フラット35で団信に入らなかった話も同じ考え方です。死亡という“本当に再起不能になる穴”だけは収入保証保険で安く塞ぎ、医療保険・がん保険には入らない。

正直に失敗も書いておくと、僕も昔、がん保険に一度入って、3年で解約しています。「2人に1人ががんになる」という営業トークが怖くて入りましたが、高額療養費制度を理解してから「これは貯金で払える側だ」と気づいて、やめました。

正直な但し書き(ここ大事)

  • 僕の0円・21,000円戻りは、勤務先や健保組合の事情による上乗せです。誰でもこうなるわけではありません。特に協会けんぽ(中小企業などの健康保険)には「付加給付」がありません。会社の健保組合・共済によって有無が変わります。誰でも使える共通の安全網は、あくまで高額療養費(月8〜9万円の上限)の方だと考えてください。
  • 高額療養費の対象外の出費があります:差額ベッド代・入院中の食事代・先進医療は、高額療養費の上限に含まれません。長く個室に入れば、その分は青天井です。
  • カバーできないリスクもあります:高額療養費は「医療費」を抑える制度であって、長期入院で働けない間の収入減(就業不能)や、後遺障害まで助けてくれるわけではありません。ここは貯蓄や別の備えで考える領域です。
  • 高額療養費の上限額は、過去に引き上げの議論もありました。最新の制度は必ずご自身で確認してください。

それでも僕は、「貯金で払えることに保険はかけない」という原則で、医療保険ゼロを選んでいます。今回の4万円は、その答え合わせでした。


⚠️ 保険・お金について
本記事は筆者個人の体験談であり、保険や税の助言ではありません。医療保険・がん保険が必要かどうかは、家計・貯蓄・家族構成・加入している健康保険によって一人ひとり異なります。筆者は保険や税の専門家ではありません。ご自身の判断は、加入先の保険者や専門家にご確認ください。

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