「為替リスクがあります」の正体は、1円動くと8万6千円だった——8月10日、10年契約のドル建て保険を解約します

ドル建て保険の為替リスク。解約返戻金86,010ドルでは為替が1円動くと受取額が8万6千円変わり、162円から157円への円高で43万円減る 出口戦略・相続

10年前、ドル建ての保険を契約したとき、担当者からこう言われました。

「ドル建てなので、為替リスクがあります」

僕はうなずきました。意味はわかっているつもりでした。円高になれば損、円安になれば得。それくらいのことだろう、と。

でも当時の僕は、その一言が自分にとって具体的に何円のことなのかを、まったく計算していませんでした。

10年経って、その保険を解約する日が来ます。2026年8月10日。契約からちょうど10年です。この記事を書いているのは8月5日なので、あと5日後です。

そして、いまになってようやく計算しました。答えはこうでした。

為替が1円動くと、僕の受取額は8万6千円変わる。

この記事は、その計算過程の記録です。相続税対策で10年やってきたドル建て保険の話の、解約直前編にあたります。

まず、契約の中身

ジブラルタ生命の米国ドル建終身保険(低解約返戻金型)です。母の相続税対策として、契約者を子である僕、被保険者を母として契約しました。

  • 契約日:2016年8月10日
  • 年間保険料:8,488.95ドル
  • 払込期間:10年
  • 払込累計:84,889.50ドル(円換算 1,045万9,575円・平均レート123.21円)
  • 死亡保険金:150,000ドル

保険料の原資は、母からの暦年贈与(年110万円の非課税枠内)です。ただし円安が進んだ年は、ドル建ての保険料が110万円を超えてしまい、超過分は僕が自己負担しました。2025年は振替が127万円だったので、17万円ほどは自腹です。ここも為替の影響を受けている部分です。

10年目に、やっと払込額を超える

低解約返戻金型なので、途中で解約すると大きく元本割れします。契約時にもらった返戻率の表は、こうなっていました。

  • 1年目:32.1%
  • 9年目:69.3%
  • 10年目:101.3%
  • 40年目:165.5%

10年目でようやく101.3%。つまり10年間ドルで預けて、ドルベースでは払った額をわずかに超えるだけです。この10年目の解約返戻金が、金額にして86,010ドルになります。

(これは契約時の返戻率表にある予定額です。実際の金額は解約手続きの時点で確定するので、多少前後する可能性があります)

ドルで見た話は、ここまでにしておきます。本題は、これを円に替えるときに何が起きるかです。

1円動くと、8万6千円

86,010ドルを円に替えるので、計算はとても単純です。

86,010ドル × 1円 = 86,010円

為替が1円動くだけで、受け取る金額が8万6千円変わります。

これが「為替リスクがあります」の正体でした。10年前の僕が聞き流したその一言は、僕の契約では1円あたり8万6千円という意味だったわけです。

そして為替は、1円どころではない幅で動きます。

この2週間で、43万円が消えた

実際に何が起きたか書きます。

7月下旬の時点で、ドル円は162円台でした。それが8月5日現在、157円まで円高に振れています。わずか2週間で5円です。

この5円を、僕の受取額に換算するとこうなります。

為替レート 円での受取額
162円だったら 13,933,620円
157円だったら 13,503,570円
差額 ▲430,050円

43万円。

僕が何かをしたわけではありません。保険の中身も、契約内容も、1ミリも変わっていません。ただ為替が5円動いただけで、受け取れるお金が43万円減りました。

逆に言えば、8月10日までに円安に戻れば、同じだけ増えます。そしてどちらに動くかは、僕にはまったくわかりません。

さらに、市場のレートでは替えられない

もう一つ、契約時には意識していなかったことがあります。

ニュースで見る「1ドル157円」は仲値(TTM)と呼ばれる基準のレートです。でもドルを円に替えるとき、実際に使われるのはTTBという銀行の買値で、そこには手数料が乗っています。金融機関にもよりますが、1円前後の差がつくのが一般的です。

仮に1円の差だとすると、86,010ドルではさらに8万6千円ほど目減りする計算になります。

「157円だから1,350万円」と単純に思っていると、着金額を見て「あれ?」となるわけです。ここも含めて、実際にいくら振り込まれたかは解約後に報告します。

為替リスクは「悪いこと」ではない、でも

誤解のないように書いておくと、為替が動くこと自体は悪ではありません。円安に振れれば得をするので、リスクは上下に等しくあります。実際、いまの僕は円安の恩恵をかなり受けている側です。

問題はそれを自分でコントロールできないことと、解約する日を自分で選べるとは限らないことです。

僕の場合、解約は10年目(払込完了)のタイミングと決まっていました。その日の為替がいくらかは、10年前に決めた時点では誰にもわかりません。これが投資信託なら「今日は下げているから来月にしよう」と待てますが、保険の払込満了は動かせません。

10年間お金を拘束されたうえに、出口の金額を為替に委ねる。「為替リスクがあります」の一言には、そこまでが含まれていた——というのが、10年経って僕が理解したことです。

5日後、実際に解約します

2026年8月10日、この保険を解約します。兄と妹の分も含めて、3人分です。

解約すると、150,000ドルの死亡保障も同時に消えます。そこは承知のうえです。この契約が相続税対策としてどうだったのかはこちらの記事に書いたとおりで、正直に言えばうまくいきませんでした。

戻ってきたお金は、日本の高配当株に入れる予定です。配当という「使う蛇口」を作った話で書いた方針の、続きにあたります。

報告したいことが3つあります。

  1. 当日の為替がいくらだったか――そして実際の着金額
  2. ドルベースで見たとき、この10年はどうだったのか――円換算の数字は為替に化粧されるので、ドルのまま見た成績を出します
  3. 何を買ったのか――銘柄まで書きます

特に2つ目は、この保険という商品の本当の実力が出るところなので、きちんと計算して書くつもりです。

いま157円。8月10日はいくらでしょうか。読めないものを読もうとしないというのが、このブログで一貫して書いてきたことなので、予想はしません。結果だけ、そのまま報告します。


⚠️ 保険・税・投資について
本記事は筆者個人の体験談であり、保険・税務・投資の助言ではありません。外貨建て保険の損得は、契約内容・払込期間・為替・税制によって一人ひとり異なります。筆者は保険や税の専門家ではありません。ご自身の契約については、契約時の設計書と返戻金額を確認したうえで、保険を売る立場にない専門家や税理士にご相談ください。

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