“すごい投資家の話を聞かない?”喫茶店に行ったら、隣の友人がビットコインで6000万円になっていた話

運用の物語
「すごい暗号資産投資の人がいるんだけど、一緒に話聞いてみない?」 2022年の夏、学生時代からの友人・K(仮名)からそんなLINEが来た。 一瞬止まった。 ……これ、詐欺じゃないか?

KはTを自分で呼んでいた

Kは明治大学を出て、建築士の資格を持ち、大手企業に就職していた。私たちの仲間の中では、誰が見ても「一番手堅い」人間だった。 その彼のLINEにはこう書いてあった。 「Tも暗号資産やってるみたいだから、一緒に連れてきてほしい」 TはKと私の中学サッカー部の仲間だ。2018年からビットコインをはじめ、イーサリアムなど複数のコインを保有しているガチ勢。Kは自分を守るために、自分でTを呼んでいた。本人はそれに気づいていなかったけれど。

喫茶店で詐欺師と向き合った

相手は20代後半の若い男性だった。新潟から来たと言っていた。 雰囲気は悪くない。むしろ感じが良かった。それが怖かった。 話の内容はこうだった。 「お金を預けてもらえれば、すごく増えるコインを私が買います。増えた分をそのまま還元します」 シンプルだった。シンプルすぎた。 後から調べてわかったことだが、これは当時流行していた「ファントムコインプロジェクト」という手口だった。 その時、Tが口を開いた。 「私、2018年から暗号資産やってるんですよ」 詐欺師の前で、静かに、堂々と言った。 相手の表情が微かに変わった。「詳しいんですね」と言いながら、どこか警戒した様子だった。Tはそれ以上何も言わなかった。場の空気だけが変わった。

その夜のグループLINE

その日の夜、TからグループLINEにメッセージが来た。 「あれ、詐欺だからやめた方がいいよ」 一言だった。根拠の説明もなかった。でもTがそう言うなら、そうなのだと思った。 私はすぐ「わかった」と返信した。 KはLINEでこう言った。 「危険でも俺は進みたい」

Kのその後

Kは進んだ。 その後、別の詐欺にも引っかかった。また別の話にも乗った。 明治大学を出て、建築士の資格を持ち、大手企業に就職していた。私たちの仲間の中で誰もが「この人は大丈夫」と思っていた人間が、気づいたときには複数の詐欺にはまっていた。 最終的にKは自己破産した。 自分を守る人間を自分で呼んで、その人間の言葉を無視した。 「危険でも進みたい」という言葉が、今でも頭に残っている。

後から知ったTのこと

しばらく経って、Tとサシで話す機会があった。 「あの時なんですぐ詐欺ってわかったの?」と聞いた。 「増えた分を還元するって言うけど、どんな仕組みで増えるのか一切説明できてなかった。本物のプロジェクトには必ずホワイトペーパーがある。あの人は何も出せない」 そして続けた。 「俺、今ビットコインと他のコイン合わせて6000万くらいあるんだよね。2018年からコツコツ買ってたから」 思わず聞き返した。「……6000万?」 「詐欺の暗号資産」を断りに行った喫茶店で、「本物の暗号資産」で6000万円を積み上げていた人間が隣に座っていた。

「今のうちに買っておいた方がいい」

2023年、TからLINEが来た。 「ビットコイン、下がってるうちに買っておいた方がいいよ」 当時は低迷期。「暗号資産は終わった」という空気が漂っていた時期だ。 怖かった。でもTを信頼していた。 一度に全額は入れなかった。数ヶ月かけて、少しずつ、余裕資金の範囲で分散して買い続けた。ビットコインだけでなく、イーサリアムも。 現在の運用損益は+361万円。 昨年ビットコインは史上最高値をつけ、今は少し下がっている。「売った方がいい?」とTに聞いたら、「持ってなさい。まだ上がる」と返ってきた。 私はまだ持っている。

同じ日、同じ喫茶店にいた2人

あの夏の喫茶店に、2種類の人間がいた。 「お金を預ければ増える」と言う人間。そして、黙って8年間コインを持ち続けた人間。 Kは前者の言葉を信じた。私はTの言葉を信じた。 学歴も、資格も、大手企業への就職も、詐欺から守ってくれるわけではなかった。 「危険でも進みたい」という感情が、人の判断を狂わせる。 投資の世界に「確実」はない。Tは一度も「絶対上がる」と言ったことがない。必ず「リスクもある。でも長期で見れば」と言う。 確実を約束する人間を信じるな。リスクを正直に話す人間を信じろ。 それだけで、全然違う場所に立てる。

念のため、大事な注意

Tの話は夢がありますが、彼は独身・実家暮らし・生活費が低いという、暴落に耐えられる特殊な条件が揃っていました。暗号資産は値動きが激しく、誰にでも向く資産ではありません。子育て中の方やリスク許容度が低い方にはおすすめしません。持つとしても投資額全体の10%まで。投資初心者の方は、まずNISAでインデックスファンドから始めてください。

Tの物語はここから続く

投資の元手はどこから来たのか——T君と私の「軍資金の作り方」
T君がBTC暴落でも売らなかった理由——ダイヤモンドハンズという生き方

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